「なに読んでるの?」

『【COSMOS】だろ?』と自分で心の中で答えながら相手の言葉を待つ。

俺の心の中、そのまま言ってきたりして。

「宇宙のね、小説。」

あ、ちょっとちがった。

「ファンタジー的な?」

少し考え込んでから、頷く。

「天文学を学んでる大学生が、一人の女の子に恋をするの。

その女の子は、名前もわからなくて、どこに住んでるのかも、何者なのかもわからないの。

でも、すごくすごく魅力的で、主人公はどんどん惹かれていく。

そんな中で、女の子の正体が明らかになっていくって感じかな。」


本のことになると、途端に饒舌になった。

ホントに本が好きなんだな。


「正体はなんだったの?」

「わからない。まだ、最後まで読んでないから。

でも、地球人じゃないみたい。」

「規模、でかいな・・・・。」

俺が思わずそう言うと、向こうはまた笑って「確かに。」と言った。