「それでも、うれしかった。」

そう言って、もっと顔をうつむける。

「馬鹿にされてても、

同じクラスなのに名前も知られてない、

存在も知ってもらえてないよりは、全然いい。」


今まで、そうだったのか?

さすがにちょっと同情した。


ぼちたには、顔を上げる。

その拍子に前髪がサラッと横に流れて、めがねの奥の目がしっかりと見えた。

その目を俺に合わせてくる。

ちゃんと目があってるとわかる。


「だから、ありがとう。」


・・・・っ。



「い、意味わかんねえ。

知らねえよ、そんなの。」

俺は逃げるようにその場を去った。


本当に、逃げるように。