季節は巡って今は夏
未だに目覚めることのない杏を側に俺は不安が募るばかりだった。
杏がこんな状態になってから1年が過ぎようとしている。
いつもならあっという間に過ぎるような1年が今回ばかりは長く感じられた。
俺はいつものように杏の手を握る。
そんな時
スッ
杏の目がゆっくりと開かれた。
「杏、杏、分かるか?」
愛しい人の名前を必死で叫ぶ俺。
そんな声が響いていたのか、ナースの奴らが部屋に入ってきた。
「どうかされましたか!?」
そして、目をパチクリさせるナース。
「篠山さん、大丈夫?体辛くない?」
そう言って声を掛ける奴と医者を呼びに行くナース。