愛する―君に出会えた奇跡―




小さい頃から



からだが弱かった




入退院を繰り返したせいで




友達はいなかった。



__なんで生きてるんだろ



__このまま発作でもおこして死ねたらいいのに




いつしかあたしはそんなことを思うようになった。




__生きているのが、つらかった。







生きている意味がわからなかった。




楽しいことなんてなにもない。






走ることも、出来ない。




友だちと、はしゃいだり騒いだり……




そんなことも、出来ない。

















朝、目を覚ますと







_あぁ、まだあたし、生きてたんだ。






そう思うようになった。








あたしはこのままつまらない人生を送るんだ。





そう、思っていた。




______あなたに出会うまでは………………。












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チュンチュン―




朝から小鳥の鳴き声が聞こえる。



シャッ―



カーテンが開く音がすると同時に春の日差しが差し込んできた。







「おはよう胡桃<クルミ>具合はどう?」





「おはよ。大丈夫だよ、お母さん」




ここは、病室。




そして、あたしの名前は夏山 胡桃<ナツヤマ クルミ>












今から3日ほど前に体調を崩して大事をとって入院中。



ほんとは今頃退院できるはずなんだけど




小さい頃、一度死にかけたことがあって





それからこんなことが起きると




両親は心配してあたしを6日以上入院させる。








あたしの病室は4人部屋。



昨日、あかねちゃんが退院したから



今はひとり。




「胡桃ちゃん、おはよう。検温させてね」



「はーい」



午前8時、看護師さんの、由美<ユミ>ちゃんがやって来た。


入院をたくさんしてるから看護師さんとは仲良し。



「今日、初めて入院する子がいるから仲良くしてあげてね」




「はぁーい」



ピピッ
ピピッ



返事と共に体温計がなる。







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