ここだけの話。



実は私の視力は0.1も無い。


0.02とかそれぐらい。


そして私は



あと2レース程で


走らなければならない。




「ごめんかんろごめん本当にすいませんでした…」

メガネを踏んだのは、吹部でクラリネットを吹いている、仲本 息吹(ナカモト イブキ)だった。



「いや大丈夫だよー…大丈夫じゃないけど」


「かんろー…私のメガネ使う?」


と、レースを終わらせた琴穂が聞いてくる。


借り物だから、自分のメガネでは駄目なんだよなぁ…




そして、私の番がやってくる。


さっきの様子はみんな見ていたから、私が裸眼だという事は知っている。






「よーい…」


パァン、と鳴った。