出迎えてくれたのははるちゃんのお父さん。

「よく来たね。さあ上がって。ケーキ準備してるから春斗の部屋に行っててね」

「はーい」

明るく元気な返事をする私は本当にゲンキンなやつだ。

はるちゃんの部屋に着くと、中学時代となんら変わりないようだった。

小学生の頃から続けているサッカーの練習用具、ごちゃっと物が置かれている机、私と写った小さい頃の写真。

いつもと同じだから少しだけ安心する。

「はるの匂いだー」

へへ、と笑うと

「気持ち悪いわっ。改めて何なんだよ」

と笑い飛ばしてくれた。

ベッドに腰掛け2人で色んなことを話すのは小さい頃からずっと変わらない。

「はるちゃんさー、好きな人とか居ないわけ?」

はるちゃんの顔が赤くなった気がした。

「は?は?何でそんなこと聞くんだよ」

はるちゃんは恋に関して分かりやすい。挙動不審になっちゃうから。

ろくに嘘もつけないくせに。

「誰々?はるちゃん教えて」

少し距離を縮めて話しかけると、頭を掻いて

「お前には関係ないし。」

と言われた。

「えええ、酷い。怜奈はいっつも相談してるのに」

演技風にぶりっ子を気取ってみたがやっぱり教えてくれない。

「もういいもんっ。私が突き止めてみせるわっ」

「はっ。上等じゃねえか。」

お互い、今にもフンッとか言いそうな雰囲気だけど

これも小さいときから変わんない。

結局最後は........

「怜奈、ごめんって。」

こうなるって分かってるもん。

何年も一緒に居れば分かるっつの。

「もういい。許すから。いいからケーキ食べたい」

ついさっきはるちゃんのお父さんが持ってきたケーキを目の前に置かれ、お腹がすいて仕方無い。

「うん、そうだね」