「止めろ!おいッ」

俺は慌てて駆け寄って、梨真が持っていたナイフを払い落とした。

「…あぁ…」

梨真が虚ろな瞳で、落ちたナイフを眺める。

「…ねぇ…私…生きてる…?」

梨真は血にまみれる左の手のひらに視線を移すと、ポツリと呟いた。

「梨真ぁ…っ」

どうして梨真は、ここまで酷くなってしまったんだろう…。

どうして俺は、ここまで酷くなる前に梨真を助ける事が出来なかったんだろう…。