「はい。着席ー」 梨奈の小さな声は、チャイムと先生の声により掻き消された。 隆也が慌てて自身の席に戻っていく。 …朝礼での先生の言葉なんて、全く頭に入ってこなかった。 「…お前、いったいどうしたんだよ…?」 朝礼が終わると、俺は小さな声で梨奈に問いかけた。 「…どうしたって…」 「…遅刻なんて珍しいし。…梨真だってさ」 「…別に…風邪だし」 「…風邪?」