しかし、数週間後、微妙な指先の力加減が必要とされるその技術を修得するためには、持って生まれた才能というものが必要不可欠であるということを、情けないまでに厳しく理解させられていた。

この時、真琴は生まれて初めて、天才と凡人の差というものを、いやと言うほどに全身で理解させられていたのだった。

心の底から悔しかった。

同じ人間なのに、彼女には容易くできる様に見えることが、自分には全く出来ない。

自分より何十センチもの高い身長を持っている上に、あれほどの精密で華麗な技術を身に付けている。

宇宙を創造したとされる絶対的な存在を恨む以外にはどうしようもなく、情けない気持ちで虚脱感につつまれて行くだけだった。
 
所詮、自分なんか世界を目指しても通用するような人間じゃ無いんだと、捨て鉢な気持ちにもさせられていた。