真琴は、いつかはオリンピックのコートで縦横無尽に活躍する自分の姿を夢見て、作戦研究すらも怠らなくなっていた。

AクイックにBクイック、これをバックトスから行なうCクイックとDクイック、そして、時間差などのフォーメーションアタック。

それらをどう組み合わせれば最も有効に攻撃できるのか、ほんの一瞬の判断ミスで決まるものも決まらなくなってしまう。

世界の一流セッターたちの采配を、繰り返しビデオで見て研究もした。

凄いと思った選手のトスワークは必ず試してみた。

天才と呼ばれる南米の選手の両手からくりだされる平行トスを見て呆然とさせられたこともあった。

トスされたボールがまるで空中で静止しているように見えた。

真琴の視覚がそう捉えるほどに、どんな不器用なアタッカーでも最高の力を出し切るためのギリギリの位置で止まっているように見えたのだ。

負けん気の強い真琴は、何としても、それを自分のものにしてみたいと何度も試してみた。