十二歳にして百三十センチにも満たない身長の彼女を見た顧問は、溜め息にも似た息を吐きながら、まあ、どうせ長続きはしないだろうという表情で真琴の名前をノートに記帳した。

初めは練習についていくだけでも精一杯であったが、生来の負けん気の強さに加えて、日に日に根性も身に付けていった。

学校ばかりではなく家でも、腹筋、背筋、腕立て、屈伸などの運動を一日とて欠かした事はなく、部屋自体も、女の子の部屋とはとても思えないような雰囲気で、ダンベル等の筋力トレーニング用具があちらこちらに転がっていた。

小さい体というハンディを克服する為にと、ジャンプ力を身に付けるトレーニングも様々な方法を試した。

鉛入りのシューズを履いて縄跳びをするなどの、無茶とも思えるようなことまで繰り返した。

三年の月日が流れて、中学校を卒業する頃には、筋肉質でがっしりとした体格の、いかにもスポーツウーマンといった風体の少女へと成長していた。

身長もいくらかは伸びて百五十センチは越えることが出来た。

それどころか、県下の中学バレー界では誰一人として彼女を知らない者はいなくなっていた。