私はチビだ。

チビで悪いか。

チビがバレーをしてはいけないのか。

チビだからこそ誰よりも高く跳ぶための努力をして、誰よりも速く動けるようにと気力を絞り、誰よりも強く頑丈な身体を作るための忍耐を何年間も続けてきたんだ。

そうだ、自分は、自分に出来ることをすればいいのだ。

あの天才セッターのように緻密で華麗で繊細なトスを上げることはできないが、ともすれば味方のミスを誘うこともあるけれど、他の誰よりも素早く正確に鋭いトスを上げることが出来るではないか。
 
トスだけではない。

自分には、常にエースを狙える厳しく強烈なサーブ力も、全身をコートに叩きつけながらでもボールに喰らいつき拾えるレシーブ力もある。

そして、もっと大切な一点に真琴は気がついた。

春日選手と自分に共通している一番大切なことに。