自分は、なんて馬鹿だったんだろうと真琴は思った。

人間には、人それぞれに出来る事と出来ない事がある。

自分は天才ではないから真野選手には絶対になれない。

だけど、この選手にならば、なることができる。

春日伸俊。

ピッチの内側でも外側でも常に戦い続けて来た男。

四面楚歌になっても決して挫けない男。

たとえ相手が尊敬すべき熟練の選手であっても、自分の言うべきことを胸にしまうような事なかれ主義的な考え方を忌み嫌う男だ。

自分もそうだったんじゃないか。

誰に何と思われようと、どんなに陰口をたたかれようと、大好きなバレーを、それこそ必死の思いで続けて来たんじゃないか。

戦ってきたんじゃないか。