「てめぇ、よっぽど飢えてんだな?
 嫌がる人妻にまで手ぇ出すとは」

 ケイディスの手の中に槍が現れる。

「ああ、キオ探してんだけど……お前知らない?」
 こちらは夕食のメニューを訊くような口調である。

 ケイディスはしばらく思考を巡らせ、
「オレの推測だが、十四日前にその女をサディに託して消えたのがキオだ。
 もう居ねぇ。

 それでいいな?」

「あー、怖気づいて逃げたか。
 俺様は無駄足踏んだわけ?」
 肩をすくめて嘆息するセシトイオに、ケイディスは槍を突き付け、

「分かったら消えろ。二度と来んな」

 セシトイオはケイディスから目を逸らし、
「でも処女って滅多にいないんだよなぁ……」
 いきなり彼女の真横に転移すると、耳を噛む。

「貴様っ!?」
 セシトイオはもう居なかった。
 サディにとっては腕の中の彼女を慰めるほうが先決だった。


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