変わった男だった。
色々な意味で人の目をひく外観をしている。
赤く逆立った髪、袖も裾も長さも縫製も出鱈目な衣服、右目は輝かしい黄色、左目は憂いを帯びた青のオッドアイだ。
「……キオは一緒ではないのですか?」
その声は心の奥を麻痺させるような、甘い響きがある。
「……誰……」
この男は誰なのか。
キオとは誰なのか。
彼女としては二つの意味があった。
「これは失礼」
男は彼女から身体を離すと優雅に一礼し、
「私めはセシトイオ。
世界の女性に傅くもの」
そしてまた――今度はいきなり腕の中に彼女を収めると、
「キオは一緒ではないのですか?」
彼女が黙っていると、どういう返答と取ったのか、ひょいと身体を持ち上げる。
「こうすればキオは出てくるでしょう」
寝室に転移すると彼女を組み敷き押さえつけた。
「大丈夫、こうすれば貴女は死なない」
必死に抵抗するが、びくともしない。
上着を引き裂かれ、悲鳴を上げていた。
「――サディ! サディ!」
と、セシトイオの手が止まる。
「それ、この国の国王だよな?」
押さえつけたまま、顔を間近に寄せる。
「何故キオを呼ばない?」
分からない。怖い。
必死にサディを呼ぶ。
「何をしている!?」
彼女が求める低い声が響いた。
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