「……訳ありだな」
「はい」
結界の施設の出入り口に向かって歩きながら、リガスはケイディスの言葉に頷いた。
「陛下もステアルラのことは信用していないようで……」
「いや、多分信用してねぇから言わなかったんじゃねぇよ」
施設と外を隔てる扉の前で、ケイディスは足を止めた。
「いいか、自己の確定はこの世界の人間なら必ず来る。
来ねぇってことは、違うってことだ」
「……? 何が違うんです?」
「そのスクーヴァルって娘、多分――」
思案気に言いながら扉を開けた瞬間、ケイディスの表情が鋭くなった。
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