「ステアルラ! 分かっているんですか!?」

 今朝見たままのことを伝えても、親友の表情は変わらない。

「陛下の好色ぶりはその辺の噂でもすぐに分かりますよ!」

「……同時に二人以上囲ったことはないと聞いた」
 ぽつりと、ステアルラが漏らす。
「浮気はしない性質だという噂もある」

「囲ったのを放り出したらどうするんです!
 スクーヴァルが傷物にされて捨てられるんですよ!」

 ステアルラとて何もしなかったわけではない。
 公の発言から真偽の分からない噂まで、サディ王に関する情報を聞いて回った。

 その結果の結論だ。

「人柄も能力も申し分ない。これ以上はないほどだ」

 その顔はどうみても喪失感に溢れている。

「……行きましょう」
 リガスはステアルラの腕を引っ張った。
「陛下に直談判するんです」


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