「ぅ、わあっっ!!」
驚きのあまり素っ頓狂(すっとんきょう)な声を出してしまう。
近くにあるのは幸平くんの顔。
息すればお互いの息の音が聞こえる距離。
待って、落ち着け…落ち着け……!
私は混乱した頭を必死に落ち着かせる。
でも。落ち着くはずがないっ!!!
だって私今、幸平くんに抱きしめられてる形になってる。
「迷惑なんて全然思ってない……!!」
幸平くんは私を抱きしめたまま再び話を続けた。
「どこの誰かも分からない着ぐるみの所に毎日来てくれて、毎日笑わせてくれて……
俺、このはが来てくれるのが本当に嬉しかったんだよ…!!
顔なんて関係ない。俺はこのはの内面が好きになったんだ!」
そう言い切った幸平くんの目は強く、まっすぐだった。
う、嘘でしょ……!?
私のこと、好き……だなんてっ……!
私のこと嫌じゃなかったの……?
迷惑じゃなかったの…?!
嬉しさのあまり込み上げそうになる涙を堪えて叫んだ。
「わ、私もっ……!!!」