ずっと聞き役だった幸平くんがようやく口を開いた。
幸平くんはゆっくりと目を閉じ深呼吸をすると覚悟を決めたように話し出した。
「……俺さあ、女って大嫌いだったんだよね」
その瞬間、ちくりと胸に針が刺さったような感覚に襲われる。
……でも、逃げたらだめだ。
ちゃんと話を聞かなくちゃ……。
私は唇を噛み締め必死に幸平くんの話に耳を傾けた。
「同じクラスの女子は皆、俺の顔だけに寄ってたかって俺の内面を見てくれようとした人は誰もいなかった。
俺の前ではいい人ぶんのに大人しい男子には本性見え見えの最悪な態度。
……そんな女がまじで嫌いだった。
だから俺は自分の顔や声を”着ぐるみ”で隠そうと思った。
全てを隠した上でも優しくできる人。それが本当の いい人 だって思ったから。
……そんな時、キャンディー落とした俺にすかさず駆け寄って助けてくれた奴がいたんだ。
着ぐるみ着た俺に一番に優しく接してくれたのは、このはだった」
すると幸平くんは私の腕を掴んだかと思うとぐいっと自分の方へと引き寄せた。