「あっ………血が……!!」
私がそう言って目尻を指差すと彼はああ、と言ってゆっくりとその場所に手を置いた。
「これくらい大丈夫だから」
そしてにっこりと微笑んでくれる。
その笑顔があまりにも輝いていて私は思わず見とれてしまいそうに…、
………じゃなくて!!
血が流れているのに大丈夫な訳がないでしょ!?
「だめっ‼︎ 血が流れるってよっぽどのケガですよ!こういう時はすぐに止血しないといけないから……あ、タオルあるんで使ってください!」
私はタオルを取り出そうとスポーツバッグの中をがむしゃらに漁る。
………すると 。
「ぶっっ!」
笑いを咬み殺したような声が聞こえた。
え?
思わずその笑いが聞こえた方へ顔を向けると彼は両手で口を抑えて大笑いしていた。
「いーよ、これ以上あんたのタオルもらう訳にもいかねーからさ!」
そう言って彼が差し出してきたのはドット柄のタオル。
このタオルは確か、私とトナカイくんが初めて会った日に転んだトナカイくんに貸してあげたタオルだ。
やっぱりあなたはーーー
「着ぐるみを着てても着てなくても……どんな人にでも変わらず優しいんだな、このはは」