「ぐっ……てめえら覚えとけよ!」
チャラ男三人組はお決まりの捨てゼリフを吐くと足を引こずりながらその場を後にした。
残されたのは私と………見知らぬ誰か。
「………大丈夫?怪我ない?」
彼は腰が抜けて座り込んでいる私に手を差し伸べてくれた。
声をかけられ初めて私はその顔をまじまじと見つめる。
さっきまでは驚きのあまり顔なんて見る余裕なかったけど…この人イケメンだ。
茶髪の短髪にくっきり二重、筋の通った鼻。
身長は180センチはあるだろう。
そして極めつけはこの手。
大きくて優しさが滲み出てる、そんな手だった。
「あ、ありがとう……大丈夫、です…」
私は顔を赤らめながらもそう答え、おずおずと差し出された手に腕を伸ばす。
そしてその手に触れた瞬間。
体中に電撃が走ったような衝動に駆られた。
………私はこの手を知っている。
「この手ッ………!!もしかして…」
その続きを言おうとした時、私の手の平に何かが落ちた。
赤く生ぬるい液体。
思わず目を見張るとその整った顔の目尻からは一筋の血が流れていた。