「先輩……大丈夫ですか?」
悠里ちゃんが私の顔色を伺いながら尋ねてくる。
……後輩に心配されるって先輩としてどうなんだろう。
今さらながら恥ずかしさが込み上げてきた。
「いや、ほんと大丈夫だから!普通に元気だから気にしないでっ!!」
「いやいや、気にしますよっ!! このは先輩があんなに慌てるってよっぽどのことですよ!全然普通じゃないです!
…あのトナカイと何かあったんですか?」
私の行動はそんなにあからさまだったんだ。
悠里ちゃんにはもう完全にバレてる。
これ以上言い訳するのも面倒だし、言ってしまおう……
私は目を閉じ息を吐くとゆっくりと口を開いた。
「正直、よく分からないんだ。トナカイくんのこと……」
「……それは、着ぐるみを着てるから中に入ってる人がどういう人か分からないってことですか?」
「うん、まぁそうなんだけどね。トナカイくんと何かあったのかどうかも分からなくなって。
それに私、トナカイくんのことどう思ってるのかすら分からない。一緒にいると楽しいし仲良くなりたいって思うけど、私みたいな奴に絡まれて迷惑じゃないかとか考えちゃってさ。
自分が何を思って、どうしたいのかが分からない」