その後、羽山は真面目に宗方と交際する、というのを条件に不問となった。

まぁ、羽山にはいい薬だ。

そこら中で女の子つまみ食いしてたからな。

お嬢の(多分)フルパワーのビンタを食らわされた日には、宗方を泣かせるのがどれ程の自殺行為なのか、身に沁みてわかるってもんだろう。

宗方の方も、

「お嬢が側で見守ってくれてるんなら、安心して付き合えるよ」

と上機嫌。

同じ男を好きになっても、取り合いになったりしない辺り、本当の女の子の友情って男の友情よりも勝るのかな、なんて思ってしまう。

俺は我が身可愛さに、お嬢の目の前で羽山を見殺しにしたからな…。






翌日。

「卓也君は、好きな人とかいないの?」

晴れて羽山と交際をスタートさせた宗方が、俺の後ろの席から話しかける。

「いねぇよそんなの、青臭い」

俺は、馬鹿らしい、と笑い飛ばした。