家に帰る途中、ふとあることを思い出した。


2年前の夏。
ちょうど今日くらいだろうか。

俺が中学3年生の県総体。

俺の目の前で、爆発的な記録を叩き出した少女がいた。

“夏原瑠子”

中学2年生で女子100Mの中学記録を叩き出した少女だ。

年は俺の1つ下。
彼女もまた、中学生から陸上を始めたらしい。

だから俺は彼女に大きな憧れを抱いた。

彼女は言っていた。

『あたしは陸上が大好きなので!』

最高の笑顔で。


しかしそれからすぐに彼女は中学陸上から姿を消した。

高校生になっただろう今でもまだ見たことがない。


もう一度会ってみたい。

もしかしたら、もう身近にいるのかもしれないけど───。