*裕斗side*


───カシャッ、カシャカシャッ

控え室から出た瞬間、たくさんのカメラ音と何十人といる記者たちに囲まれる。


「日高選手!
一言お願いします!」

「今日のレースはいかがでしたか??」


次々とぶつけられる質問たち。

───俺は聖徳太子じゃないっつーの。


そんなどうでもいいことを考えながら、俺に向けられた十数本のインタビューマイクに向かって喋った。

「はい、とてもいいレースになりました。
大会記録をマークできたのはとても嬉しいです」

ありったけの言葉なんだろうけど、俺の心から出た言葉だ。


「ありがとうございました!
これからもかんばってください!」

ありがとうございます、と頭を下げて、その場を後にした。