《位置について、ヨーイ………パァン!!!》

「いけいけー!」
「がんばれー!」


ついに選抜リレーがスタートした。

体育祭の最後の種目だけあって、応援も尋常じゃない。

1周400Mのトラックを¼周ずつ、100メートルずつ走る。

そしてアンカーだけが200メートル走る。

どんどんバトンが繋がっていく。


10人目まで来て、陸上部や運動部の人が多めのあたしたち、赤軍が優勢な感じ。

そして、20メートルくらい差が開いて、11走目の元陸上部の200Mエースだった西野優奈(ニシノユウナ)先輩にバトンが渡った。

「優奈せんぱーい!!!
がんばれー!!!」

あたしもみんなに負けずに応援する。

さすがに速いっ!


でも………

バンッ!!!

「……ゆ、優奈先輩!!!」


足がもつれて転んだ優奈先輩。

後ろの選手がどんどん追いついてくる。


慌てて優奈先輩も立ち上がって走り出したけど、足が痛いみたいで、ちょっと引きずり気味。

なんとかバトンが次の走者に渡ったけど、あっという間に逆転され、30メートルは離されてしまった。


優奈先輩は顔を覆っているから多分泣いている。


こうなったら、絶対勝たないと。

優奈先輩は優しくてひたむきに努力する、あたしのすごく憧れの人。

このリレーも最後まで1番練習してた。


あたしの心が、始動した。