《軍対抗選抜リレーに出場する生徒は、本部席前に集合してください》


リレーの選手を呼ぶ放送が競技場に響いた。

いよいよ最後の種目、選抜リレーが始まる。


本当に緊張する……。

今になって不安になってきちゃうよ。


でもゆりもメンバーだし、なによりあたしの前は裕斗先輩だし、大丈夫だよね!

うん、大丈夫……。


……あーっ!
だめだ、緊張しちゃうよ……。


「おいっ」

頭の上から声が降ってきた。

「あ、裕斗先輩」

裕斗先輩だった。


「お前、なに、緊張してんの??」

裕斗先輩がちょっとバカにしたように言ってきた。

「きっ、緊張なんてしてません!」

反抗するように言ったけど、思いっきりかんじゃった!!!

「ふはっ、おもしれーなあ。
思いっきり緊張してるし」

うっ、バレてたかぁ……。

「んー、まあ心配すんなよ。
赤軍のメンバーは陸上部だっていっぱいいるし、なによりお前の前は俺だろ??」

本部席に向かう途中、歩きながら話しかけてくれた裕斗先輩。

その不器用だけど優しい言葉が、嬉しかった。

「だから、お前はゴールに向かって走ればいいよ。
頑張ろうな!」

「はいっ!!!」


よしっ。

優勝するんだから!!!