電車が来るまであと10分くらい。

そろそろ行こうかな。
電車乗れないのやだしっ。

「裕斗先輩、そろそろあたし行きますね。
今日はありがとうございました!」


深々と頭を下げたあたし。

裕斗先輩が少し笑ったような気がした。

「俺こそありがとね。
楽しかった。
……1つだけ、聞いていい??」

「えっ??なんですか??」

「あんたさ、城南の陸部のマネージャーになったの、陸上が大好きだからって言ってたよね??」

「……は、い」


嫌な予感がした。

「じゃあ、あの幻の天才少女、知ってるか??」

「て、天才少女って……??」

「……夏原瑠子。
中学2年生で中学記録を0.6秒更新したヤツだよ」

「え、っと……。
名前くらいなら……」


ほんとは名前しか知らないなんて嘘。

だって夏原瑠子は………………























あたしだもん。