「ゆりは??
ゆりは好きな人とかいないの??」

「わたしっ!?
えっ、と、いないよっ??」


ゆりさん。
分かりやすすぎますよ……。

「ゆりわかりやっす!
で、誰が好きなのー??」

「い、言わないでよ??」

「あったりまえ!」

「り、琉太先輩……」

「琉太先輩!?
そーなんだ!!!
でも、なんで??」

琉太先輩っていうのは、陸上部の2年生。

男子200Mのエース。
県総体では初の全国大会出場を果たした。

裕斗先輩といい勝負ができるくらいすごい人。

まさかゆりが琉太先輩を好きだったなんて……。

まあ、面白くていい人なんだけど、女には興味なしって感じの人なのに……。

「なんかさ、前にあたしが少し足痛めた時あったでしょ??
その時しばらく部活できなくて、見学の時にすっごく優しく声かけてくれたんだぁ」

ゆりがケガした時だと、5月だから3ヶ月くらい前??

そんなに前から好きだったんだ!!!

それより、琉太先輩って女子にそんなに優しいの!?

「それ以来、たまに見せてくれる琉太先輩の優しさが大好きになってた」

そう話すゆりの横顔は、いつものゆりと違って、少し頬を赤らめた、恋する女の子の顔だった。