《南駅、南駅》

車内放送が流れた。

電車の扉が空いた瞬間、いっきに電車から溢れ出る人たち。

あたしもゆりに手を引かれてやっとの思いで電車から降りた。


「ゆりー……。
し、死ぬかと思った……」

「はー。
まったく瑠子はだめね。
まあ今日は楽しもうね」

「うん、そうだね!」

集合場所の南神社へ向かいながら、おしゃべり中のあたしたち。

やっぱり人多いなぁ。


「てかさ、瑠子は裕斗先輩が好きなの??」

「えっ!?
なんでそうなるの!?!?」

いきなりゆりがそんなこと言うからびっくりしちゃった。

「んー、なんかそんな気がしただけー」

「もうっ、ヘンなこと言わないでよぉ」

「はいはいごめんねー」


テキトーに謝ってくるゆり。

そういえば、ゆりの恋バナって聞かないなあ。