「光君の部屋から出て行くお前を、お手伝いさんが見たと」


う……そ。


「どうなんだ、月美!? 本当なのか!?」


変な汗が出る。

喉が渇く。


手を擦り合わせ、小刻みに振る首とは裏腹に


「えっと……」


言葉が出て来ない。


「違うの」


上手く話せない。


こんな事になるなんて思ってなかった。


バレるだなんて思ってなかった。


予定外のことに、どうしていいかわからなかった。



「光君の部屋に居たっていうのは、本当なんだな?」


何も言えなくなってしまった、あたしの腕を引き階段をあがる父。


「もういい。聞きたくない。当分、部屋で反省するんだ!」


そう言って、あたしの部屋まで行った父は、ドアを叩くように閉めてしまった。