「いやぁ、それはおめでたいですなぁ。
こんな素敵な男性と結婚されるとは、私も腰を据えて頑張らねば立場が危うくなりそうだ」
「ははは、何をおっしゃいますか、源さん」
あぁ、このおじさん。
お父さんのライバルとか言ってた人だ。
時期、総理大臣としての名があがってるとか何とか言ってたっけ。
メディアでも取り上げられている、その顔を見ながら思った。
こんな上辺だけの会話に何の意味があるって言うんだろう。
心の底から思ってるわけないじゃない。
ううん、ライバルなんて関係なく。
皆、誰をどう使えるか……そんな事ばかり考えているだけなのに。
「あ、そうだ。うちの息子も紹介しておきますよ。今は私の下で働いているんですが、いずれは跡をと思っているんですけどねぇ」
「おぉ、息子さんですか。何とも頼もしいですな」
はぁー。
まだ続くの?
いい加減にして欲しい。
「おい、光。こっちへ来なさい」
「はい」
え?
ひ……かる?
そう名前の呼ばれた方向へと、ゆっくり視線を向けた。