あたしの家の少し手前で止めた車内でやっと
「……じゃあね」
と、車のドアへと手をかけれた。
また暫く会えなくなると思うと寂しくて、哀しくて。
言葉に出来ない想いが胸の奥を締め付ける。
車を降りようとすると手首を掴まれ、驚いて振り返った。
「光?」
「んな顔すんなって、言っただろ」
そう甘い声で囁き、触れるだけの優しいキスをくれた。
恋をした。
生まれて初めての恋をした。
子供のように突っ走る恋かもしれない。
だけど、あたしの求めていたものはこれだったんだ。
どんな高価な物より、どんな素敵な男性より、どんな恵まれた生活より欲しかった物。
それが光だったんだ。