「ぶはっ!」
へ?
ヤバって顔をしたあたしの頭上から笑い声が降って来て、今度はキョトンとしてしまった。
「月美、そっちの方がいーわ」
「……え?」
「それが素なんだろ?」
「え。あ、いや……てか、ねぇ?」
「俺の前では、隠さなくていーじゃん。
つーか、俺そっちの方が好きかも」
「へ……!?」
カーっと顔が熱くなるのがわかった。
好き。って言葉だけに反応しちゃって。
あたしの性格だけを言っただけなのに、何勘違いしてんのよ、あたしっ。
目を泳がせるあたしに
『キョドリ過ぎだって』
と笑う光。
そんな事、言われたって〜。
こんなあたしを認めてくれた人なんていなかったんだもん。
いつも
『もっとお行儀良くしなさい』
だとか、
『そんな言葉、使うんじゃありません』
だとか言われ続けてきたから。
「いいのかな?」
お嬢様らしくしなくていいの?
このままのあたしでいいの?
「良ーんじゃね?」
そうニカッと笑った光の後ろには、ほのかにかすんだ朧月が浮かんでいた。