- 2010年4月 -



中学校生活最後の学年になってから

4日ほど経ち、今日は最初の授業だった。



「ねぇねぇ眞渕 (マブチ) さん」


突然小声で声をかけてきた隣の男の子


「えっあっ、どどどうかした?」


つられて小声になる私。


顔を知ってるだけで席替えをしてから

初めて言葉を交わしたから少し緊張した



「教科書忘れちゃってさー。なんとなくだけど当てられそうだから見せてもらってもいい?」


チラッと机の上を見ると鉛筆と消しゴムだけが転がっていた


「あっ!気づかなくてごめんね!全然いいよ!!」


あたふたする私の姿を見て


「ふっ。慌てすぎだし謝らなくていいし (笑) 馬渕さんっておもしろいね」


そう笑い、机をくっつけて一緒に教科書をみた



その間も少し会話したりしてたけど

初めて話したとは思えないくらい

とても話しやすくて居心地がよかった



「じゃー今日は12日だから出席番号12番!
はい、ヒナ!立って読んで下さい~」


「はい、やっぱ俺じゃん。そーくると思ってた。予想はしてた。」



ほんとに当てられた。てかヒナって何(笑)

笑う私を見てひねくれる彼



「ぶつぶつ言わない!ひねくれない!ほら!読まなきゃ終わらないよ!」


クラスが笑いに包まれた。



そして休み時間になり



「葵衣ちゃん(先生)って最初の授業、出席番号覚えさすために毎回番号で当ててくるんだよー。馬渕さんのおかげで助かった!またよろしく頼むね!」


「いいけどちゃんと持ってきてよ (笑) 」


「はーーいーー」


「あ、てかヒナって何?(笑)」


「ん?あーそれは、あ…」


ガタン


話をさえぎるかのように大きな音を立て

前の席に座っていた志乃が立ち上がり

教室から出ていこうとした。

すると


「あっ!志乃 (シノ) ?俺もトイレ!」


どーしてトイレとわかったのか

そういってちょこちょこと志乃の後を

着いていった。



ああーー まだ答え聞いてないのにーー

また後でいいやと諦め、友達の所へ

行こうとしたときだった



「ぁああああ!!そうそう馬渕さん!!」



突然彼が大声で叫び、クラスのみんな

そして私と隣にいる志乃までも驚いた。



注目を浴び、顔を赤くする

私の姿を見て微笑み



「みんな俺の事ヒナって呼ぶんだよ!俺のあだ名!琴理 悠 - コトリ ワタル - コトリだからヒナって意味(笑)俺の名前ちゃんと覚えててね、眞渕さん!」



そう満面の笑みで返してくれた。