「ん、……獅蛇」


「大丈夫か?」



十六夜が何かを言っているが小さく掠れた声では聞こえない。耳を近づけると



「刹那の、お墓にっ…」



立ち上がり刹那の墓標に近寄ると十六夜は墓標に触れる



「触ってる、と…和らぐの……」



確かに刹那の墓標に触れていると十六夜の息は調うし苦しみも和らいでいるように見える


今は冬。墓標は冷たいはずなのにやはり温かくいつまでも触っていたい気分になる


それは症状が和らぐからか、それとも…




「何でか分からないのか?」



獅蛇の言葉にゆっくり頷いた十六夜は刹那の墓標を力無く撫でる。そのまま何とか上をみると愛している天堂と羽刃が戦っているが劣勢なのは天堂だ



「あ、なた……」