「十六夜!」
その頃十六夜は布団でまたあの頭痛や耳鳴り、鈴の音に苦しんでいた。しばらく耳や頭を両手で押さえていると治まってきたがぐったりしている
「あの女か…」
ということは、桜李の戦いが始まったのか…
「十六夜、もう少し耐えてくれ…桜李たちが倒してくれる」
息が上がっている十六夜を抱き寄せて乱れている髪を手梳で整えてやると、その感触に目を覚まし、息も絶え絶えに口を開いた
「――なの…に……っ、つ、……て」
「何じゃ?」
十六夜の口元に耳を近づける
「刹那、の…お墓、っ連れ…て、」
刹那のお墓に連れて行って
「刹那の墓?…そこに連れて行きゃいいのか?」
確かめるとゆっくり頷いた十六夜。戦いが始まった今、連れ出すのは危険だ
だが十六夜にしか分からないことがあるようだ。これ以上無理に話させることはしない方がいいと思った天堂はちょっと待ってろ、と出て行った