「麗海さん…泣かないで。僕は、麗海さんを悲しませたいんじゃないよ……」
そう言って、凪は私の額に唇を触れた。
「な…ぎ……?」
私が顔を上げたら、凪が私を抱き締めた。
それに驚いて、私は振りほどこうとした。
でも、強い力で抱き締められて、動くことができなかった。
「凪…放して……」
「嫌だ」
凪の腕の力が、更に込められた。
その強さに、私は更に驚いた。
凪の細い腕に、こんなに力があるなんて思いもしなかった。
「痛い…痛いよ……凪……放して…………っ!」
私のシャツの裾から、凪の手が入れられた。
直に肌を触られ、私は身体を強張らせた。
「やめて…!凪……!」
必死に突き放そうとしても、逆に強く抱き締められ、凪の手はどんどん早まってくる。
「凪!やめて!…私達は…………っ!」
先の言葉をもみ消すように、凪の唇が私のく唇を乱暴に塞いだ。
そのまま私は押し倒され、長い口づけの後に、凪はゆっくりと唇を離した。
「知ってるよ。僕達は、半分だけ、血の繋がった兄弟だ」
顔が間近なその体勢で、凪は言った。
そうだ。凪は知ってるはずだ。
それなのに……
「どうして……」
それだけの言葉が、声になった。
「麗海さんのことが、欲しいから……」
じっと私の目を見つめて、凪が言った。
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