それから、一ヶ月。
三谷の様子を見るようになった。耐えられなかった。
机を捨てられたり、トイレに顔を押し込まれたり。
それを笑いながら見ている結城。
俺はいつも通り、結城を誘ったんだ。
「結城、一緒に帰ろうぜ」
この日の事を本当に後悔している。
歩きながら、俺は話を出した。
「あのさ、なんであんな事してんの?」
俺はいつもの声のトーンで言った。
結城は、不思議そうに不安そうな顔つきをしたあと、笑顔に変わった。
「ああ、三谷のこと?すごく良いストレス発散だよ」
笑いながら淡々と話す結城。
「あいつ良い子ぶっててむかつくんだよね。あれはさー、俺らなりの教育?」
俺は何も返す言葉が見つからなかった。
「人生甘くないですよってね」
結城...
「世の中の厳しさを教えてあげてんだよ。」
ダンっ
「どうしたんだよ、お前...」
俺の平手打ちが結城の顔に命中。
「いじめとか、くだらねー事やめろよ。」
「は?なんでお前にそんな事言われなきゃならねーんだよ」
泣きながら俺は言う。
「三谷が...かわいそうだ...」
結城が鼻で笑った。
「かわいそう?あんな奴どうせこの世界に必要とされてねーの」
「死んでも誰も悲しまねーよ」
気づいた時、其処には結城が血だらけで倒れている。
時間が止まった。
その時自分のした事に気付く。