「クゥゥン…クゥン」

それ程遠くない場所で
何が鳴く声が聞こえた。


シルスは
その声がする方へ
導かれるように歩いていく。



そこには
車にひかれ
哀れな姿で
倒れていた真っ白な子犬がいた。


シルスはそれを見た瞬間
胸が張り裂けそうなそんな
気持ちになった。


「ウゥ…ゴメンヨォ…
何もできなくてごめん……
ゴメンナサイ…」


シルスは
血だらけになった子犬を
雨からまもるように
抱きかかえると


大声をあげながら
泣き出した。