バスケばかな私の彼氏♡








私は、出産が近づくにつれて、だんだん不安になっていた。



先生からは、




「帝王切開になるでしょう。」




そう言われていた。



そして、




「もしもの事態も把握しておいてください。」




と付け加えられた。



死ーーーー…。




私の頭の中を駆け巡る。


何度も、泣きそうになった。




でも、生まれてくる赤ちゃんの事を考えると頑張れた。



そして、私は颯太と、これから、生まれてくる赤ちゃんに手紙を書いた。



もし、私がいなくても大丈夫なように………………







いよいよ。手術の日。




ついにこの日が来た。



病院には、颯太とお母さんが来てくれた。



「元気な赤ちゃんだといいな?」




「そうだね。頑張るね!!」




「もう、私もおばあちゃんなのね………………」



「じゃあ、お母さん、颯太。行ってくるね?」


あ、そうだ!!手紙。



「颯太。これ、いつでもいいから読んで?」



「おう!!頑張れよ?」



「頑張ってね!!」



「はい!」



そう言って、私は手術室の中に入って行った。







〜颯太side〜


楓の手術が始まった。



手術中の赤いランプが光っている。



俺は、まだかまだかと心待ちしていた。




と、同時に楓の身体の事が不安にもなった。







そして、何時間だっただろう。



「おぎゃぁ、おぎゃぁ………」



「お子さん無事生まれましたよ!!」




先生がそう言ってくれた。

しかし、顔が笑ってない。



もしかしてーーーー…。



「かえ、で、は?」



「楓さんも無事でした。」




という言葉を聴いた時、嬉しさでいっぱいになった。



「しかしーーーー………」





は?おいおい。




てめぇ、頭おかしいんじゃねえの?



俺は、ぶん殴りたい気持ちでいっぱいになった。



「しかし、楓さんは、かなり弱っていて………私たちも懸命に手術したのですが………







一週間………










もたない、でしょう………………………」








本当にぶん殴ろうと思った。


でも、ここは病院だしお母さんもいたので、なんとか自分を抑えた。


「本当なんですね?」



お母さんが冷静に聞いていた。




「申し訳ありませんが、残念ながら………」





「そうですか………」




「なんで………」



俺は、先生に向かっていった。




「申し訳ありません。」




「謝ってすむなら警察はいらねぇんだよ!!」




と、言ってしまった。



もっと、言おうとしたらお母さんに



「颯太くん。もうやめて?」




「でも………」




「楓は、大切な赤ちゃんを残してくれたの。こんな事して、楓が喜ぶとは思えないわ。笑顔で接してあげて?」




俺は、その言葉を聞いて我に返った。



そうだ。今俺がこんな事しても、楓は何も嬉しくないだろう。



今は、笑顔になることが楓に出来る唯一の事だ。




「すいません………」






俺は、先生とお母さんに謝った。



それから、すぐに病室へ行った。



赤ちゃんは、未熟児のため、まだ見ることは出来なかった。




でも、楓の寝顔があまりにも幸せで、感謝の気持ちでいっぱいになった。




「ありがとな。楓。」



おれは、眠っている楓の頬にキスを落とした。



「今は、麻酔で眠っています。もう少ししたら、起きられると思います。」



先生がそう言った。


俺は、早く楓の声が聞きたくてたまらなかった。







「…うた………颯太!!」



「ん………俺、寝てたのか?」




「颯太ったら!!しっかりしてよ?」



「楓………?」




「そうだけど?」




その声を聞いて、楓を抱き締めた。



「楓………ありがとな。ありがとう………」




「颯太がいたから、頑張れたんだよ?こちらこそ、ありがとうね!!あ、もうすぐで赤ちゃんくるって!!」


「本当か?見たかったんだよな。」



楓は、自分の体がもたないことを知っているのだろうか?



この様子だと、知らないかな………?



そして、念願の赤ちゃんが来た。



「わぁー見て見て!すごく可愛い!!」


「そうだな。」



楓は、赤ちゃんを抱いて、すごく幸せそうだった。



この光景がいつまでも続けばいいのに………




そう思ってしまった。



楓に話さなくちゃな………







「なぁ、楓………?」



「ん?何?」




「大事な話、してもいいか?」




すると、楓は間をあけて、










「私が………………死ぬこと………………?」





「………なんで知って………」





「自分の体だから、なんとなくだけど分かるの………………あぁ、もうダメだなって………………」





「楓………………」





俺は、なんて言ったらいいか、分からなかった。





「颯太。今まで本当に迷惑ばっかりかけてごめんなさい。でも颯太には、まだ人生がある。お願い………………私の分まで生きて………?」





「なんで………………」





なんで、楓なんだよ?




そう言いそうになった。



でも言ったら、楓はきっと悲しむ。そう思った。




「ごめん。俺が………」




「颯太。私は、風になる。」








「え?」



「風になって、空を飛ぶの。」



「か………ぜ………………?」





「ずっと夢だったんだ。空を飛ぶの。ふふっ子供みたいでしょ?」



「そんなことない。楓が風なら俺は、空になるよ。楓が雨だったら、俺は雲になる。俺たちは、ずっと繋がっている。」




「ありがとう。颯太………………ありがとう………」




楓は、子供の様に泣いた。


赤ちゃんもびっくりして、泣いてしまった。



それがすごく似ていて、やっぱり親子だな、いつまでも見ていたいと思った。








その日、楓はそのまま眠っている。



俺は、飲み物を買おうと、外へ出た。



空はとても綺麗で、心が落ち着いた。




そのまま少し、歩いていた。



すると、俺の携帯が鳴った。





楓のお母さんだったーーーー…。