ふぅ、と小さくため息をついてこちらに帰ってくる巴。

「ご苦労様。パパ」

「静香のパパじゃない」

「わかった、わかった。巴」

私と、巴の二人の宝物。

6歳の秋桜と、4歳の紅花。

二人の思い出の花の名前を子供たちにつけた。

二人で決めている。

いつか、二人が大きくなって名前の理由を訊いてきたときには。

巴がどれほど優しかったかを話してあげることを。

「静香も優しかったよ。僕が起きるのを信じてくれた」

私の心を読んだように巴は言う。

信じる、なんて当たり前。

だって私たちはこうやっていつまでも、いつまでも幸せであることが決まってたんだから。

いつか、秋桜や紅花が恋をして、結婚をするときには、秋桜の花束と、千日紅の鉢植えをプレゼントしよう。

永遠に私たちの恋が続くように祈りをこめて。



…………end