彼の退院はそれから一週間後になった。

「結局、千日紅の花言葉を聞いてないんだけど」

「そうだったね、ちょっと待って」

ごそごそと鞄を探って出てきたのは紅い箱。

千日紅みたいな紅色。

ぱかっと開けて入っていたのは。

「指環?」

細くって綺麗な指環。

細工の先にちょこんっとのっているのはルビー。

「千日紅をイメージしてデザインしたんだ」

「デザイン、してくれたの?」

「うん、花言葉、聞く?」

「もちろん」

どれ程この瞬間を待ちわびたか。