「…嘘でしょ?」
そこでは、音なんて少しも聴こえない。
楽器なんて一つもない。
空っぽの部室に30人程の男女がワーキャー叫びながら遊んでいた。
部室の隅っこでイチャイチャするカップル、豪快に笑いながら厚化粧をするギャル達、ふざけながら走り回る男子ら。
とにかくひどかった。
「あっ君、新入部員?」
私に気づいた男子部員が話しかけてくる。
「えっ あ…はい。」
「嘘!マジで!?」
「やばいんだけど〜!」
「ぎゃはははは!マジウケる〜!」
私が答えた瞬間にみんな口々に話す。
〈私、この部活で3年間過ごすの!?〉
すごく不安になった。
だけど退部しようとは思わなかった。
こういうものは中途半端に放っておけないのが私である。
この部活を変えてみせよう!
そう思えるところが生まれつきの私の長所なのだ。