「女王…!!
あなた!!なんということを!!」
腹部から血を流すアリスの上半身をもちあげ、白兎が叫ぶ。
その声は広いこの部屋中を走った。
「ふ、ふふ」
黒く光る銃を力無く右手に持った女王が、生気の無い瞳で笑う。
アリスの血が、床を伝った。
「っ…アリス…アリスの時間を…」
白兎は片手でアリスを起こしたまま、もう片方で懐中時計を握りしめた。
「…」
眼を閉じて、強く念じる。
――止まれ、止まれ
…コチ
カチ
コチ
カチ
コチ…
――ここは、どこ?
カチ
コチ…
――あぁ、私…死んじゃったのか。
カチ
コチ
カチ…
――呆気なかったなぁ…私、結局なにもしてない。
あーあ。かっこわるいなぁ。
カチ
コチ
カチ
――死にたくないよ
コチ
カチ ン
「……」
「時間は止められまして…?白兎?」
白兎はゆっくりとアリスの体を横たえた。
「ええ、お陰様で」
そっと、その蒼白い顔に手をそえる。
「…どうして?」
そえた手に、雫が落ちる。
「…どうしてこんなことをした!!」
「あら…ふふ、わたくしね、アリスが憎かったの。だって…アリスさえ生まれなかったら…ちゃんとした物語が戻ってきたはずなのに!」
「嘘をつくな!!」
白兎が顔を上げると鋭い目で女王を睨んだ。
「嘘ですって…?
わたくし、嘘なんかついていませんわ。
アリスが憎くて憎くてたまらなかった!」
「…戯言を。
内線の邪魔をしたのは今のアリスじゃない。
このアリスを殺したって、あなたの気は晴れないはずだ!」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!」
ドカ!!
爆発音が響いた。
「戯言は、あなたの方です…!!わたくしは…わたくしは」
「図星かあ?」
「!」
床から、第三者の声が。
二人が声のするほうを見ると、そこには倒れたままのチェシャ猫。
「…チェシャ猫?」
白兎が呼ぶと、チェシャ猫はむくっと起き上がった。
あなた!!なんということを!!」
腹部から血を流すアリスの上半身をもちあげ、白兎が叫ぶ。
その声は広いこの部屋中を走った。
「ふ、ふふ」
黒く光る銃を力無く右手に持った女王が、生気の無い瞳で笑う。
アリスの血が、床を伝った。
「っ…アリス…アリスの時間を…」
白兎は片手でアリスを起こしたまま、もう片方で懐中時計を握りしめた。
「…」
眼を閉じて、強く念じる。
――止まれ、止まれ
…コチ
カチ
コチ
カチ
コチ…
――ここは、どこ?
カチ
コチ…
――あぁ、私…死んじゃったのか。
カチ
コチ
カチ…
――呆気なかったなぁ…私、結局なにもしてない。
あーあ。かっこわるいなぁ。
カチ
コチ
カチ
――死にたくないよ
コチ
カチ ン
「……」
「時間は止められまして…?白兎?」
白兎はゆっくりとアリスの体を横たえた。
「ええ、お陰様で」
そっと、その蒼白い顔に手をそえる。
「…どうして?」
そえた手に、雫が落ちる。
「…どうしてこんなことをした!!」
「あら…ふふ、わたくしね、アリスが憎かったの。だって…アリスさえ生まれなかったら…ちゃんとした物語が戻ってきたはずなのに!」
「嘘をつくな!!」
白兎が顔を上げると鋭い目で女王を睨んだ。
「嘘ですって…?
わたくし、嘘なんかついていませんわ。
アリスが憎くて憎くてたまらなかった!」
「…戯言を。
内線の邪魔をしたのは今のアリスじゃない。
このアリスを殺したって、あなたの気は晴れないはずだ!」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!」
ドカ!!
爆発音が響いた。
「戯言は、あなたの方です…!!わたくしは…わたくしは」
「図星かあ?」
「!」
床から、第三者の声が。
二人が声のするほうを見ると、そこには倒れたままのチェシャ猫。
「…チェシャ猫?」
白兎が呼ぶと、チェシャ猫はむくっと起き上がった。