おかしな国のアリス

トランプ兵が居なくなり、私と猫と白兎という3人で歩く。
…なんだか暗い気持ちだ…。
「アリス、大丈夫です。きっと彼は、自分であそこから這い出ますよ。」
そんな私の気分を察したのか、白兎が言った。
「そう、かなぁ…」
完全に真っ暗モードの私は、まだ元気にはならない。
「だって、あの女王が作り出した優秀なトランプ兵ですよ?
あんなところで大人しくうろついてるわけないじゃないですか。」
「…白兎、女王様嫌いじゃなかった?」
「…彼女は嫌いですが、彼女の能力は認めています。」
すごい人なんだ。
だんだん、私の心が明るくなる。
…完全に明るくなっても、きっとワダカマリは残るんだろうな。
そんな事を思った。

「白兎さ、女王がどこに行くとか聞いてねぇの?」
とりあえず城の出口を目指しながら、猫が尋ねる。
「んー…そうですね…確か、まずはビルの家に向かうとか言っていた気がします」
「ビルに家なんかあんのか?」
「…さあ…」
この2人が話してるのって、なんか不自然。
あんまりないからかな…?
「それが、あるんですよねぇ。」
……うん、空耳。
「あー、ちくしょう…あせりすぎて幻聴聞こえてきやがった。」
「僕もです」
「いやですねぇみんなして…ほーら、こっちにおりますよー」
……無視無視。
私はあんなもの知らない…知らない…
「走んぞ」
「はい」
「うん」
一斉に全力疾走。
「負けませんよ!」
その後を幻聴が追ってくる。
「出口だ!」
「ホントですね!」
「外に出られる!」
「逃がしません」
ヒュッ
ガッ
ドスッ
どしゃぁっ!

……
「…重い」
「い、痛いです」
「…うぅ」
…解説すると。
ビルが光の速度でかけてきて、猫の足をひっかけ転ばせ、転んだ猫に白兎がつまずき、その白兎に私が激突し、全滅。
みんなそれなりに速度がでてたから、衝撃もひとしお。
「やっと止まってくれましたね」
「ビル…てめぇ…」
緑色のそいつ、ビルは笑顔で私たちの前にたたずむ。
「なにがしたいんですか?あなたは…」
「そうですねぇ、つまらないので道案内をしてさしあげようかと」
「ざけやがって…」
ばちばち、ビルと猫の間に火花が散る。
…さて、どうしたものかな…