整った顔立ちは自分で描いたものであっても思わず見惚れる程。

丁寧に色を乗せていく。

月見里君にばれないよう、時おり確認しながら。

集中していると、飛ぶように時間が過ぎる。

パンパンッ!っと、部長の小気味良い拍手で皆片付けに入る。

「理ー恵ーちゃんっ!一緒にかーえろ」

「言われなくともそのつもりです」

「わーい!嬉しい」

「飛びはねないで下さい。目立ちます」

ただでさえ、月見里君は美形で目立ち気味なのに。

「ごめんね、理恵ちゃん」

身を屈めて額にキス。

余計に目立つから本当に止めてほしい。

私の心臓も持たないし。

「……………………」

視線を感じた。

月見里君も気が付いたのか二人同時にそっと後ろを振り返る。

にまにまと笑う部長の姿がそこにはあった。

「お二人さーん。熱いねぇー。あはは、あたしにもその熱さ、分けてほしいくらいだよー」

反射的に逃げの体勢を取るも、肩にぽんっと手を置かれる。

確か、部長、この前、彼氏に、振られて、た。

今日の帰りは相当遅くなることが決定した。