「ははは、それは、凄い、ね」

「がっかりしました?私の手料理が食べたいなら死ぬ覚悟をしてくださいね?」

「うん。理恵ちゃんの料理が上手になったら、是非食べさせてよ」

「さりげなく私の料理が下手だって言ってますよね?」

「いや、上手くはないでしょ」

「下手ですけどね」

二人ともここで吹き出した。

「くっはははっ。理恵ちゃ、下手すぎっ」

「失礼ですね。努力はしてますよっ。ふふっ」

私が笑うと月見里君が固まった。

「うわ、理恵ちゃんがそうやって笑うの初めて見た」

「初めて、ですか?」

「ちょっと微笑んでくれることはあったけど、そうやって笑ってくれんのは初めて」

目を丸くしている月見里君の視線が気恥ずかしい。

「そう、でしたか」

「うん。だから、すっげえ嬉しい」

ぎゅっと抱きしめられて赤面する。

見えないけどその顔がきっと満面の笑みを浮かべているんだろう、と予測出来た。

「理恵ちゃん、好き。大好き」

「そうですか。私も、好きですよ」

腕の力が強くなる。

「そういうの、反則」

腕の力が緩んだ隙に少し体を離した。

私だってそういうのはずるいと思う。

ますます好きになってしまうのだから。

「今、何考えてる?」