「あんた達、いちゃつき過ぎ。あたし達だって時と場所は選ぶのに」

呆れた菜穂の声。

ちょうど朝練が終わったのか、菜穂と藤堂先輩カップルが来ていた。

「まあまあ、菜穂。大目に見てやれって。俺達だって付き合い始めた頃はあんなんだっただろ」

笑いながら菜穂を宥める先輩。

「そう?まだ、マシだったと思うけど。じゃあね、蓮」

ひらひらと手を振って先輩と別れる。

そして私の手をぎゅっと握ると妖しい笑顔。

「それじゃあ、理恵。SHRまで時間があるし、詳しく話聞かせて貰うからねっ!」

藤堂先輩、戻ってきてーっ!

疲れた…………。

SHR前だけじゃ、菜穂の質問責めは終わらなくって、休み時間もずっと拘束されっぱなし。

昼休みになって、

「あたしは、蓮と食べてくるー。月見里と食べな!」

と、言ってようやく解放してくれた。

「月見里君と食べなって言われてもな」

そんな約束してないし。

鞄に入っている自分のご飯を取り出して、一人で食べようとした時。

ピピ、ピピッ

私のケータイの着信音。

月見里君からのメール?

『一緒にご飯食べられる?』

なんていいタイミング。

少しびっくり。

『いいですよ。今から中庭に移動するので、そこで食べましょう』