「お母さん、いってきます」

いつもと同じ時間に家を出る。

少し夜更かししてしまったせいで眠気が。

最寄りの駅に着き、定期で改札を抜ける。

「…………月見里君っ!?」

そこに居たのは、私の彼氏になった月見里君だった。

「おはよう、理恵ちゃん」

「おはようございます。じゃ、なくて。何故、ここに?」

「昨日、ここまで送ったからね。最寄りなんでしょ?」

いや、そうだけど。

そうじゃなくて。

「何で、ここまで来たんですか!?」

「え?むしろ何で来ないのかがわからない」

きょとん、とした顔で聞き返されてしまう。

ピロリロリンッ♪

『まもなく、二番線に電車が参ります』

アナウンス。

不味い。

もうそんな時間。

「まあ、話の続きは電車の中でね」

急がなきゃ、と呟き手が差伸ばされる。

一瞬、戸惑ったけどその手を掴む。

そうか、私達、恋人、なんだよね。